終わりかけの永遠に

名前

教室に戻り、私は席につく。
彼と話したおかげか、彼の歌声のおかげか、私は落ち着いていて、不安も減っていた。


「えーっと...あさひな...さん?」


背後から声がして、私は振り向く。
そこには、黒のロングヘアーの一人の女の子。
私の椅子の裏に貼られていた名前を読んでいたらしい。


「え?あ、うん、朝比奈莉愛です」


私がそう言うと、その子はニッと笑って、「岩崎咲良です!よろしくー!」と挨拶をしてくれた。


「私、萩中なの。朝比奈さんは?」

「私は秋中」

「え、あの吹奏楽が強い!?」

「あー...そうなのかな?」

「朝比奈さん何部だった?」

「吹奏楽だよ」

「すごいっ!私もなんだけど、秋中には勝てなくてー...」


黒のロングヘアー、パッチリした大きな瞳、雪のように透き通った肌。
そのせいで清楚で大人しいイメージを持ったけど、どうやらそうではないらしい。
表情はコロコロ変わり、時々見せる悪戯っ子のような笑顔は可愛らしい。


「ねぇ、莉愛って呼んでいい?私のことは咲良でいいからさ!」

「うん。よろしく、咲良!」


良い友達が出来て、不安は消え去った。
高校生活初日は、いいスタートが切れた。
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