ハローマイキャンディ
とか、思っていたら。


「あたしじゃカプリを帰せないよ。」


突然、会話が成立した。
どうでもいいけれど、いや、どうでもよくはないけれど、突然もいいところだと思う。
ちゃんと会話が出来るなら、早々にして欲しかった。


「…何で無理なの?」


若干、勢いを削がれてる俺は、ぼんやりと悪徳天使に視線を向ける。
抜けるような青空に色素の薄い金色が透けて、それだけなら、西洋絵画のようだった。

着脱色ベルトがなければ。


「無理に決まってんじゃん、てんとう虫はそんなこともわからんか。」


…黙ってれば、も、そこに追加したいと思う。

ナフカの中で、武安はじめ=てんとう虫の図式が、完全に出来上がってしまったらしい。

俺が言ったわけじゃないのに。
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