ハローマイキャンディ
俺の焦りを気にしてないのか、はたまたたいして興味がないのか、彼女はおとなしくバスタオルで拭かれている。

自分で拭いてくれないんだ…。

いろいろと動転してる俺は、そうは思えどそれどころではなくて。
彼女の存在と畳のしみ。
どっちが気になるかといえば、それは畳に違いない。

いや、彼女も確かに気にはなる。

当たり前だ、突然バスタブから出現したのだから。
お湯しか張ってなかった何の変哲もないバスタブから、いきなり人が現れたら、俺でなくたって、億万長者だってわらしべ長者だってびっくりするに決まってる。

だいたい何者だ?
ワープって、やっぱりあのワープ?
てことは、不法侵入な上に未来人とか?

気持ち優しく彼女を拭きながら、精一杯、想像力を働かせてみる。

それでも、これが限界な俺。

現実主義者なんだ、地に足をつけて生きてきたんだ。
仕方ないじゃないか。
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