好きを百万回。


その日も、お弁当とキルトを持っていつもの場所へ行った。今日は朔也さんは来ているだろうか、そんな期待をしながら。

廊下を曲がったところで、目の前の光景に悲鳴をあげそうになるのを辛うじて飲み込んだ。


ソファーの座面も、背もたれも、刃物でズタズタに切り裂かれ、中のスポンジまでがそこら中にまき散らされている。


心休まる場所だったのに。

唯一、仕事中に朔也さんと会える場所だったのに。

吐き気がこみ上げる。
なんでここまでされないとダメなんだろう。

朔也さんのことが好きなだけなのに・・・・・誰にも迷惑をかけていないのに・・・・・

力が抜けてその場に座りこんでしまった。

「こまり?」

優しい声が聞こえる。
今日だけはここに来て欲しくなかった。
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