夢追う私たち
急いで乗り込むと、急に浅田さんに顔を覗かれた。

「うぁっ、なっ…なんですか?!」

「いや、顔赤いけど大丈夫か?」

「おっ…温度差でのぼせただけです!!」

「…そんなんあるのか…?まぁ、いいや。シートベルトして。」


しばらく車を走らせると浅田さんが口を開く。


「そういえば、今日まででいいんだっけ?送んの。」

「あ、はい!もう自転車乗れる位にはなったので!
ありがとうございました!」

笑顔とは裏腹に心の中は、さびしかった。

まぁ、これ以上迷惑かけたくないし…

ちょっとしんみりしてると
隣からプッとふきだす音が聞こえた。

「回復はえーなぁ。なに、野生の力?ははっ。」

くっそぉ、この男…
人が素直にしてると思って調子のりやがって!!

確かにっ…確かに整形外科の先生にも回復早いねぇって言われたけどさぁっ。

送ってもらっている身なので、文句をぐっとのみ込む。


「あ、そういえばラテおいしかったですよ!てゆうか、そんな顔してあんな可愛いラテアート描いちゃうんですね。」

「おい、そんな顔ってなんだよ。
まぁ、ラテが旨いのは当然っ。また淹れてやる。」

「やった!!…あ、じゃぁまた明日!13時に。」

「おう。じゃーな。」

ほんと、車だとあっという間だ。

明日はちゃんと
素直にお礼を言って渡せるといいなぁ…

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