覚醒者3号
俺の身長よりも高く…2メートルは浮き上がったベンチ。

その光景に驚いているのは、この場では俺一人だった。

女性も黛さんも眉ひとつ動かさずに睨み合いを続けている。

まるでそれは当然の事だといわんばかりに。

これが私達の『日常』なのだといわんばかりに。

そして次の瞬間。

浮かび上がったベンチは、まるで野球のピッチャーが投げた豪速球のようなスピードで撃ち放たれた!

その先にいるのは黛さん。

偶然などではない。

明らかに故意の殺意。

ベンチは黛さんを狙って飛んでいく!

「チッ」

微かに黛さんの舌打ちの音。

彼女はベンチを十分に引きつけた後、直撃寸前で身を翻して躱す!

黛さんの代わりに地面に直撃したベンチは、乾いた木が割れるような凄まじい音を立てて砕け散った。

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