やばいトコを見られたっ!
吉田社長が、講英館という出版社の常務と食事に行くようにと言ってきたのは、そんな頃のことだった。
「明日は帰れないかもしれないけど、先方の意向に沿ってね」
なんて社長が言い出したものだから、
「帰れないってどういうことですか!」
と、あたしは机をたたいたのだ。
「それって、あたしに枕営業をして来いっていう意味ですか!?」
枕営業というのは、業界の用語で、つまり……
一夜を供にして仕事をもらってくる、ということだ。