十日目の判決 -完-

1. 5月13日







放課後。どこか、近くも遠くもない所で騒ぐ生徒たちの声が校舎内に響く。

姿は見えずとも楽しそうにはしゃぐ生徒たちが頭に浮かび、ぼーっと人が居なくなった校内を見渡す。

学生たちにとっては週の真ん中とも呼べる水曜日の今日は部活動が無く全校生徒がいつもより早く下校できる日だ。

1人、教室を出て廊下を歩く私は心浮かれることなくいつも通り行動する。



こんな私も高校生で、もう2年生になった。

帰宅部の私は授業数が他の日と比べて少ないというだけで水曜日は特に思う事はなくはしゃいだりはない。


まだまだ高い位置にある太陽に明るく照らされる廊下はぽかぽかと陽気でいて冬とは時間感覚は違うな、なんて思う。


くつ箱のほうへ帰ろうと歩いていると、くつ箱前の廊下から争う声がした。声は男と女1人ずつのもので女の声は何とも、まあヒステリックな大声。

私のクラスのくつ箱は幸い、声のする所より手前にあるので声の主たちに遭遇する事は無い。


「何なのよっ!!意味分からない!!どういう事!!はあ!?」


何だ、離れた位置にいる私でも鼓膜が破れそうだぞ。


「え、いや…」


ほれ、男が困ってるぞ。


嫌でも耳に入る会話を聴きつつ、帰ろうと自分のくつ箱の所へと向かう。






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