血の雫







次の日。

引き続きアキナの家に居候することの決まった僕は、アキナのお母さんの部屋で目覚めた。

アキナのお母さんが帰ってこない限り、僕はこの部屋で寝ることが決まった。




吸血鬼界にいるときはまだ眠っている時刻だけど。

あんまり寝ているとアキナに起こされるから。

アキナは僕のことを、ちゃんとした“人間”だと思っているから。

正体がバレないためにも、僕は眠気眼のまま下の“りびんぐ”へ降りた。





「おはよう…アキナ……」

「あ、おはようドロップ。
もうすぐで朝ご飯出来るから、座ってて」




ぱっちり目の開けたアキナが、笑顔で応じた。

僕は重い瞼を開け、椅子に座った。




「そうだドロップ。
今朝、拓ちゃんから電話が来てね」

「……うん」

「ドロップ、あたしと同じ高校に通うことになったから」

「……え?」

「ドロップってもう高校卒業しているんでしょ?
だから行かなくても良いんじゃないかって言ったんだけど。

『男のドロップくんを、1人で留守番させるわけにはいかない。
アキナの私物をいじるかもしれないじゃないか』って。

拓ちゃん心配性だからさ……」




……何を考えているんだろうか?あの人は。

僕が1人で留守番中に、アキナの私物をいじるはずないじゃないか。

僕がアキナに関して興味あるのは、その血だけなのだから…。







< 43 / 141 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop