血の雫

★世界へ帰る時











★ドロップside★






最低。

最低。

最低だ、僕は―――。





保健室へ行く、と先生に嘘をついて僕は教室を飛び出した。

あの場所に、いることが出来なかったんだ。





バレた。

バレた。

僕が吸血鬼だって、バレた。





「……っはぁ、はぁ、はぁ………」





教室を出てから全速力で走って来た。

無我夢中で走って辿り着いたのは、前にアキナが宇津木拓也から聞いたという場所。

相変わらず草木が生い茂る道を通り、アキナと並んで座った場所に腰かけた。





何しているんだ、僕は。

僕はそっと、自らの手で自分の持つ牙へ触れた。

鋭く尖った、生まれつき僕の口内にある、吸血鬼の証。







< 89 / 141 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop