たとえどんなに。
私の母は私が中学1年の時に亡くなった。

父の暴力。

突然発症した病。

いや・・・母は気付いていたのかも知れない。

自分が病に侵されていたこと。

それらが母を襲った。

それでも母は最後まで笑った。

きれいな笑顔を私たちに向けていた。

死に際まで母は笑った。

苦しい顔は見せなかった。

でも、母は私の寝静まった夜泣いた。

暴力をふるった父がお酒を飲みに出て行ったあと

母は部屋で一人泣いた。

私の名前を呼んで泣いた。

父の名前を呼んで泣いた。

初めて見た母の笑顔以外の表情。

それでも翌朝には

起きてきた私にいつもの笑顔を向けた。

いつものきれいな笑顔を。

父にも、私にも。

昨晩の母が嘘のように。

でも、少し・・・

目元がはれていた。
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