【完】好きになれよ、俺のこと。
外はいつの間にか薄暗くなっていた。
俺は 、校門を出たところで走っていた足を止めた。
そして、陽向の手首を掴んでいた手を離す。
『ごめん、急に連れ出して』
ほとんど衝動的だったとはいえ、倒れたばっかりの陽向を走らせちゃったしな。
だけど、陽向の方を振り返ると、陽向はぶんぶんと首を横に振っていた。
そして、ニコーッて笑顔を浮かべるんだ。
『ううん!
叶翔くんヒーローみたいだった!』
『え? ふっ…、ヒーロー?』
思いがけない言葉に、思わず吹き出す俺。