【完】好きになれよ、俺のこと。
『……ねぇ、叶翔くん』
不意に声を掛けられ陽向の方を向くと、陽向は手を降ろし、俺の方に向き直って笑っていた。
『私ね、叶翔くんにとって、一等星みたいな存在になりたいんだ。
叶翔くんのことを照らして、どんな夜も叶翔くんをひとりにはさせないの』
『え?』
『って……な、なんか偉そうだね!』
そう言って、陽向は頬を緩め照れ臭そうに笑うと、恥ずかしさを紛らわすかのように急ぎ足で歩き出す。
俺は立ち尽くし、その後ろ姿を見つめた。
……もしかしたら、さっきの桜ちゃんとの話を聞いていたのかもしれない。
胸の奥のどこかが、じんわりと熱くなった。
なんでこんなにも、俺が欲しい言葉をくれるんだろう。
なんでこんなにもこの子は俺の心を乱すんだろう……。