君はあたしの天然王子
「じゃあ…あたし帰るねっ」
「あ、美奈ちゃん…」
あたしは尚陽くんたちを背けて、駅まで走った。
駅のホームまで辿り着くと、ボロボロと涙が溢れてきた。
もう…ここで泣くの二回目だよ…
告白する前に失恋するなんて…。
涙はスピードを上げて地面に落ちていく。
「尚陽くんっ……」
もう…どんなに尚陽くんを思っても伝わらないんだね…
尚陽くんの隣には可愛い彼女がいるもん。
あんな可愛い彼女に、あたしなんかが敵うわけない…
あたしは、真っ赤な目をしたまま電車に乗りたくなかったから、歩いて帰ることにした。
歩いてもそんなに遠くないし…
涙だって乾くでしょ…?
あたしは今日、失恋したんだ…
もう、尚陽くんを想っちゃいけないんだ…