イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
きっと久世書店の方の仕事のメールだろう。

久世書店の社長の御曹司の久世さんは、この洋書店の店主だけど、久世書店の常務でもある。

店を私に任せて千代田区にある久世書店の本社に行くこともしばしば。

今日はスーツを着ているし、本社に行くのかな?

久世さんから解放された私は椅子に座って、本の検品を始めた。

このバイトを始めて一年経つ。

最初はわからないことが多かったけど、仕事にもだいぶ慣れてきた。

この仕事は好きだし、お姉ちゃんの身代わりをしているからといって辞めたくない。

「今日も久世さんは本社に行くんですか?」

「その予定だったんだけどね。急な来客がありそうだから」

何やら企み顔で久世さんが微笑む。

「急な来客?」

私が首を傾げると、久世さんは私の肩を軽くポンと叩いた。

「桜子ちゃんは気にしなくていいよ。さあ、仕事に集中しようか」
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