君のいいところ、1つしか思いつかない。
「この浴衣、晴の好みかなぁって思って選んだんだよー!似合う?」
へへ、と笑う里奈は、世間一般的に見て可愛いと思う。
「あー、可愛い可愛い」
「もー、適当に言ってるでしょー!」
そんな会話をしていると、前方から聞こえた声に目を向けた。
「可愛いね、似合うよその浴衣」
知らない男の、紗月ちゃんに向けた言葉に。
1人にするんじゃなかった。
一瞬で俺を襲う後悔。
里奈に持ってて、とカキ氷を2つ押し付けると、走って紗月ちゃんの肩を抱き寄せた。