君のいいところ、1つしか思いつかない。
「ねえ晴、向こうに皆いるから一緒に花火見ようよー」
「皆のほうが楽しいし!
いいよね、彼女さんも!」
「あー、うん…」
答えようとした紗月ちゃんの声を、咄嗟に遮った。
「紗月ちゃんじゃなくて、俺が2人がいいんだけど」
…何で、前から、分かってはいたけど。
俺の好きの方が、紗月ちゃんの好きよりもはるかに大きいことなんて。
ふたりきりじゃなくてもいいなんて、悲しくなるから言わないでよ。