私の横に居る人
麻帆の両親が入ってきたので、遠慮して部屋を出た。

麻帆の希望とはいえ、先に会わせてもらって申しわけなかったな。

ドアを閉め、廊下を進んでいくと大きな声で呼び止められた。

「悠ちゃん、久しぶり。」

健先輩と響子先輩だった。

「あれ?響子先輩…。」

「やっぱり気づいたよね。実は妊娠が分かって籍を先に入れたの。」

少しふっくらとしたお腹に、響子先輩は手を添えた。

そして左手の薬指の指輪を掲げる二人。

「うわっ~、おめでとうございます。」

1年先に2人は卒業したため、今日は久しぶりの再会だ。

「昨日までこいつ調子悪そうだったから、俺が一人で行くって言ったんだけど、どうしても寛人と麻帆ちゃんに会いたいって、結局連れてくることになったんだ。でも朝からめっちゃテンション高くてさ、昨日までのは何だったんだって感じ。調子が良ければ、うるさいし無理しそうになるし。参るよ。」

困ったように響子先輩を見る健先輩。
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