軍平記〜その男、村政〜


「皆起きろ!!山津波だ!!」


ゴゴゴゴゴと不気味な音がする。


松代軍の布陣していた山が崩れ出した。


逃げ惑う兵士達、もはや戦争所ではない。
土の匂いが迫る。



「うがぁぁぁっ!」軍内から悲鳴が上がる。ほとんどの兵士が土に呑まれた。

木や岩に巻き込まれ、その土砂は麓の赤城軍まで呑み込んで行く。



村政は暗殺の後、布陣する山に毎夜仕掛けを施していた。

何の事はない、岩盤の軟らかい部分を探しだし、火薬を仕掛けていた。

山で育った村政にとって山の構造は、よく理解していた。



ある程度の兵を駆逐出来たと判断した村政は、松代の別の隊へ向かう事にした。



崖下の赤城軍は、奇襲を受けたと思い、松代軍に襲い掛かった。

松代軍はなす統べなく、壊滅した。




「報告!第三足軽部隊壊滅!!」


松代軍本陣に伝令が届く。

「何としたことだ。一体あそこで何があった!」

「何でも、突如山津波が発生し足軽部隊全員が崖から落ち、赤城軍によって壊滅しました。」


「なんと!それはまことか!なん足る様だ!」

この男、松代軍総司令官 ・高山銀次郎(たかやまぎんじろう)と言う。

筋骨隆々、髭と彫りの深い顔。まさに軍人である。
知略にも長け、今の松代国をこれだけの大国にまで押し上げたと言っても過言ではない。

武芸全般に通じ、個の武術もかなりの使い手である。


「すぐに別動隊を派遣しあの布陣した山を奪還せよ!」
「騎馬隊を出し、赤城軍にぶつけろ。」


本陣を二分し、赤城軍にぶつけると決断する。


「青葉国が到着するまでにある程度侵略を進めなければ、我々の得るものは無くなってしまう。」
「すぐに行くのだ!」


ははっ!!


松代軍本陣は兵を編成し直し、崩落した山へと侵攻を開始した。

「わし自ら向かう。本陣は頼んだぞ!」


高山は自ら兵馬を率いた。



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