ホップ・ステップ・飛び膝蹴り




……知らね。

あたしはもう、大成なんて知らねぇ!



あいつのこと考えてる時間がもったいねぇ。



ドリンクを抱える。

荒い足音を立てて、体育館に戻る。



「さーせん!」



おい待て、あたしまだなんも言ってねぇぞ。



勢いだけで謝るのはやめろ。

ちょっと落ちこむから。



さっきより部員の集まって来ている中、かきわけて。

あたしが蹴った足を引きずって歩く大成と尚の前に仁王立ち。



「行くぞ」

「え?」

「デートだろ?
付き合ってやらぁ」



同じように目を丸くするふたりを睨んでからふん、と顔を背ける。



好きにしろって言ったのは大成だ。

だから、尚と出かけてやる。



それが、大成にとってどうでもいいことでも、もう引っこみがつかねぇから。



大成なんて、大成なんて、



「リアルに前髪が後退すればいい!」

「は⁈」

「高校生にしてじわじわハゲろくそが!」






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