蟲狩り少女
全国各地にお寺はあるけれど、そのお寺でしか蟲狩り師の存在を知る人はいない。


「この前屋上で使ったスプレー。あれも光磨のものなんでしょう?」


「……あぁ。本当は俺のものだ」


蟲狩り師にとって重要な道具の1つを『拾ったから返す』だなんて、よく言えたものだ。


あたしは呆れてため息をはきだした。


「学校が始まったらスプレーは返すわ。1つないだけで困るでしょう?」


「そうだな……」


それだけ言うと、あたしたちは民宿にたどり着き後は無言のまま各部屋に戻ったのだった。
< 151 / 289 >

この作品をシェア

pagetop