蟲狩り少女
先生はコクリと頷いてそう言ってくれた。


あたしは逃げるように教室から出て、そして廊下を走った。


脇マサヤは三岳友輝の言葉を信じてしまったのかもしれない。


普通は三岳友輝の言葉が嘘だという事はすぐに理解できる。


でも、脇マサヤはしばらく学校を休んでいて、いまだにクラスになじめていない。


だから、信じてしまう可能性はあるんだ。


あたしは急いで階段を駆け下りて授業で使う移動教室の前までやってきた。


息を切らして立ち止まり、困惑している表情の脇マサヤの前に立つ。


「教室……カギがかかっているみたいで入れないんだけど……みんなは?」


脇マサヤは教科書と筆記用具を片手に抱えたまま、眉を寄せた。


「みんなは……教室にいるよ」


久しぶりに全力で走ったせいで、声が切れ切れになる。
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