光の少女Ⅰ【覚醒編】
飛竜から下りて、風夜の後についていく。

彼が立ち止まったのは、花音がこの世界に来た時に最初にいた場所だった。


「ここなの?」

「ああ。此処が一番転移しやすいんだ」

「花音」


風夜と話していると母の声が聞こえ、振り返ったと同時に抱き締められた。


「お母さん・・・!」


今更、寂しさが溢れて涙が出てくる。

十六年も一緒に暮らしてきたのだ。

寂しくないわけがない。

今、別れてしまえば、もう二度と会えないかもしれないのだ。

涙が止まらない。

そうしていると、花音と母は父に引き離された。

「これ以上此処にいたら、別れが余計に辛くなるだけだ。私達はもう行くよ」


そう言った父と母を光が包む。


「花音、元気でな」

「お父さん・・・」

「もしいつか、光輝に会ったら謝っておいてくれ」

「うん。わかった。・・・・・・お父さん達も元気でね」


涙を拭き取り、無理矢理笑みを浮かべる。

それを見て、両親も笑ってくれたのがわかった瞬間、二人の姿は消えた。
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