シンデレラに恋のカクテル・マジック
 菜々が見守る中、永輝がフライ返しでお好み焼きの底を少し持ち上げて、焼き加減を見た。

「そろそろいいかな」

 そう言って彼がひっくり返した。形を崩さず上下が入れ返ったお好み焼きを見て、菜々は感心したように言う。

「返すの上手ですねぇ」
「そうかな?」
「はい。私もよくお好み焼きを作るんですけど、ひっくり返したとき、だいたいいつもフライパンから三分の一くらいはみ出して垂れて、もったいないことになっちゃうんですよね~」

 そのときのガスコンロが無残にも汚れる様子を思い出して、菜々はため息をついた。永輝が笑って言う。

「フライ返しを二つ使ってる?」
「いいえ、一つしかなくて」
「お好み焼き店みたいに二つ使うといいかもね」

 やがて中まで火が通ったので、それぞれ半分こにして皿にのせた。ソースにマヨネーズ、鰹節と青のりを振ればできあがりだ。

「いただきまーす」

 声を揃えて言って、熱いお好み焼きを口に運ぶ。

「はふっ。れもおいひー」

 菜々が焼きたてのお好み焼きを口に入れたまま言うと、永輝が笑った。

「何言ってるかわからない」
「〝熱っ、でもおいしー〟って言ったんですっ」
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