シンデレラに恋のカクテル・マジック
 菜々の心底嬉しそうな表情を見て、永輝が目元をほころばせた。

「よし。すぐ作るから、待ってて」

 永輝が言って、ガスコンロに向かった。ボウルに卵を手際よく割り、フライパンを熱してバターを落としてから、卵液を流し入れる。手早くかきまぜて半熟になったところで火を止め、フライパンを傾けながら皿の上のチキンライスにふわりとのせた。

「わあーっ、上手ですねぇ」

 オムライス屋さん顔負けの見事な手際に、菜々は感嘆のため息をついた。

「惚れ直した?」

 永輝の軽い口調にも同じく軽いノリで答える。

「はい、もう!」

 永輝は驚いたように目を丸くしたが、すぐにふっと笑った。

「じゃあ、先に食べておいで」

 永輝がトレイにオムライスとサラダ、オレンジジュースをのせてくれた。

「ありがとうございます」

 菜々はトレイを持っていそいそと休憩室に向かった。トレイをローテーブルに置いてソファに座る。

「わー、おいしそう! いただきます!」

 この前見た半月よりもふっくらとしたオムライスに気持ちが高鳴る。スプーンを入れると卵がとろりと崩れた。それをチキンライスと絡めて口に入れる。
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