深夜26時はキミと一緒に、
***


休日の誰もいない音楽室。
そこは静寂に包まれていてピアノと私、二人だけの世界に浸れる唯一の空間。

鍵盤を1つ、指で叩く。するとポロン...♪と小さく音が溢れる。
連続して叩くと1つの音と音が繋がり、やがてそれは長いメロディとなり響き渡る。

時間の流れさえも忘れてしまうほどに音楽の世界にのめり込むことで、私は日々のストレスや不安などの負の感情から解放される。


ふと瞼を閉じると、広がる草原の中に独り、夢中でピアノを弾く自分の姿が浮かび上がった。


......何もいらない。

私にはピアノさえあれば何も必要ない。



_____そう思う頭の片隅で、草原の向こう側に私を見ている影が浮かんだ。
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