君のために歌う歌
「まぁ、イケメンてのはイケメンだからな。気をつけろよ。」



高橋は意味深なことを言って宙子の肩をポンポンと叩いた。



「よ、余計なお世話よ。」



その手を払いのける。




「申請書の締切は明後日、明々後日の17時30分からC組で説明会があるから、代表でもメンバー全員でもいいから来ること。
分かった?」




「はーい。」



高橋は気の抜けた返事をした。



「メンバーの名前全部漢字で書ける気がしねぇからまた明日持ってくわ。」



「はいはいよろしくね。」


高橋は鞄を肩に背負った。



「宙子はまだ帰らねえの?」



「郷愛がそろそろ戻ってくると思うから。」



「そっか、じゃあ、気をつけて帰れよ。」



高橋はドアを開けっぱなしで帰っていった。




郷愛は完全退校時間の19時ギリギリに、汚れた制服で戻ってきた。


宙子は、陽翔の話も高橋の話もせず、郷愛が撮った写真を見せてもらいながら下校した。
< 78 / 303 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop