神が奪ったモノ
レーベンが頷くとロリエッタはゆっくりと離れた。
その目にはロリエッタには珍しく涙が浮かんでいた。
「行ってきな」
それでもロリエッタは気丈に、いつものように振る舞った。
「おう」
レーベンは片腕を挙げ、村人たちに背を向けた。
「頑張ってこいよー!」
「病気にはなるんじゃないよ!」
「レーベン兄ちゃん頑張ってねー!」
それぞれの村人たちから見送りの声が掛けられる。
「じゃあなー! みんなー!」
レーベンは一度立ち止まり、手を大きく降った。
それからまた、クルリと背を向けるともう振り返らなかった。