赤いエスプレッソをのせて
ストレッチャーで運ばれているということだけ、なんとなくわかる。

仰向けに寝かせられて、白い天井の明かりが視界をスーッと縦に動いているからだ。

たぶんここは病院だな。

「お願いだ……死な、ないで、くれ……っ」

わめく彼。

あーあーもう、熱があるのに顔真っ赤にしてそんなに叫んで。

倒れても知らないわよ、紳士さん。

あんた夏風邪引いてんでしょうに……もう、変なの。

「美代さん……っ!」

と、私がなにかから引っ張られるように眠りに落ちるまで、彼はずーっと叫んでいた。

安眠妨害よ、アンタ。
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