夜ー闇に隠された瞳の奥ー



さてと、もう夕方。


帰ろう。そして、仕事に行こう。


「………帰る。」

私がそう言って立ち上がると、夏が立ち上がる。

いつものことだ。

夏が私を送ってくれる。

総長は暇なんですか?

「じゃあなー!」

「また明日」

「………おはよう、ばいばい」



「ばいばい。」

私はみんなに手を振り、部屋を出た。

下っ端の子たちに挨拶はまだ。

今はただ、"倉庫に出入りしてる子"みたいな認識だ。

『総長っ!行ってらっしゃい!』

「………あぁ」

「お、おじゃましました〜」


倉庫から出ると、夏のバイクに乗る。前に質問。

「………総長って暇なの?」

「あ?」

怖いです睨まないで。

綺麗な顔で睨まれると、なんか鳥肌が……。

「なんで毎日送ってくれんのかなーって。別にいいのに」

「………お前女だろ」

「………女?」

………女ぁ!?

バレてんの!?

嘘だろぉ!?


「女がなんで男子校にいるかは知らねぇけど。」

「お、女じゃねぇし……」

私は夏を思いっきり睨んだ。

隙を見せちゃいけない。

「他の奴らはしらねぇぞ。俺だけだ。」

「………女じゃ、ない」

「そー言ってられんのも今のうち。その内ばれんぞ。」

うっ……。

どうしよう、何も言えない。

言えるのは……

「………女じゃない」

これだけ。


「………いいから乗れ。行くぞ」


私はその言葉に黙って従った。


私が乗ったのを確認すると、夏はエンジンを吹かしてバイクを発進させた。





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