夜ー闇に隠された瞳の奥ー




「オラァ!」

ほら、どこからか雄叫びが。

声を出さないと喧嘩出来ねぇのかね?

「おにーいさんっ」

「あ?誰だテメェ」

…カツアゲか?

ヒョロいのが怖がってる。

「私が相手してあげる」

「あ?」

「そこの君、逃げな」

私はヒョロいのに手でしっしっとやった。

「あぁ、ありがとうございます!」

「ッチ、逃したか。おいねぇちゃん、あんま調子乗んじゃねぇぞ?」

「君がね」

「なんだと?オラァッ!」

「………おっと」

私は男のパンチを避け、回し蹴りをした。

「………っ、オラァ!」

まだやんのか。

私は足で溝を蹴ると、男にアッパーをお見舞いしてやった。

「………はぁ、はぁ」

弱い。

「おめぇ、なにもんだ……っ」

辛そう。ごめんね?

「………華風ーKahuー」

「か、華風…だと……?」


私はみっともなくぶっ倒れているその男をもう1発蹴り、その場を後にした。

私の通り名は華風。

華のように舞、風のように素早い動きから。

らしい。


< 67 / 587 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop