私の仕事と結婚
私はそう言って、美奈を促した。

完全に松島君の姿が見えなくなると、私は美奈を伺った。

「喧嘩でもしてるの?」

「そうじゃないんだけど…。店に入ったらゆっくり話すよ。」

溜息をつきながら、首をすくめる美奈。

目的地はお酒の飲める沖縄料理の店。

美奈の様子を見ると、飲んで話をした方が良さそう。

「実はさ…。」

うんざりしたような顔をして、話し出す美奈。

「松下君にプロポーズされたの。」

「おめでとう。でも嬉しそうじゃないのね?」

「松下君の様子を見てると、今じゃないような気がするんだよね。私的にもしっくりいかなくってさ。 だからうまく理由は説明出来ないんだけど、今は無理って言ったんだよね。そしたら異常に私を束縛するようになってさ。どうも他に気になる人でも出来たんじゃないかって疑ってるみたいで。」

一気にそこまで話すと美奈はビールをぐっと飲んだ。

「今は松下君にとって、大事な時期だと思うのよ。だからもう少し仕事に集中してほしいなって。もう一回り大きくなった彼を見届けてから、結婚したいんだ、私は。でも私の方が1つ年上でしょう?それがうまく伝えられないんだよね、上から目線みたいで。どう話すか迷ってたら、こんな感じになっちゃって…。」
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