幻恋【続】

今日私、隣のクラスの友達に呼び出しをされていたのをすっかり忘れてた。

「あの…川崎、君。
今日ね、私ちょっと用事あるんだけど…その後に、教室で少し…話があるから、その…待ってて貰えるかな？」

川崎君は目を見開いた。

「…は？
…別に良いけど」

そして、素っ気ない返事が返って来た。

それでも、待っててくれるんだと言う事が、私にとってはとてもありがたかったし、嬉しかった。

「ありがとう！
じゃあごめん、私ちょっと行って来る」

そして、黙っている川崎君を残し、私は隣のクラスに向かって走った。


五分位経って、ようやく用事が終わり、慌てて教室に戻ると、川崎君が、ダルそうにしながらも待っていてくれた。

「待たせちゃって、ごめんね？」

ひとまず、待たせてしまっていたので、一応川崎君に謝った。

「…あぁ」

「急に、呼び出してごめんね？」

「別に…気にしてねーし」

二回連続の素っ気ない返事。

ちょっと悲しかったけど、それでも帰らずに待っていてくれてたんだし、そこは我慢我慢。

…と、我慢の糸がプツンと切れ、私は反射的に川崎君に抱き付いていた。