小さな恋物語


車を走らせて連れてきたのは、家からほど近い有名なデートスポットの一つ。観覧車乗り場だった。

一周するのに約20分。


七未は「え?何で?乗るの?」と騒いでいるから、家を出るときと同様に回ってきた観覧車に押し込むようにして乗った。


外はまだほんのりと明るい。


向き合って座っている七未を見ると、真っ直ぐに俺を見つめていた。


「七未、手。出して」

「手?」


七未は不思議そうに手を差し出した。

コートのポケットから、ラッピングした四角い小さな箱を出すと、七未の手のひらに乗せる。


「開けてみて」


小さくうなずくと、七未はリボンをほどいて包装紙を剥がしていく。

そっと箱を開けたとき、七未は驚いたように目を見開いた。
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