小さな恋物語



「好きだから。いつでも傍にいたいし、いてほしい。早く彼氏と別れてください。それで、それで…俺の――俺だけの凛さんになってよ」


私だけに見せる、力の抜けた表情。
強引なのに、今は懇願するような泣き出しそうなそんな顔をしている。


「…そのつもりだったんだけど。だから今夜は帰って彼に連絡を取る。それで別れようと思ってたの」

「へ?マジ、で?」


長島くんは目を見開いてまったく信じていないような感じだ。


都合の良い関係を作ったのは私。真実から目を背けて、私を好きだという彼の愛に身を委ねて甘い快楽を得ていた。


「マジで。だから晴翔くん、もうちょっと待ってて。私、必ず晴翔くんだけのものになるから」


背が高い彼の首に手を回して、精一杯背伸びをしてキスをした。


普段積極的なのに、こういうとき照れて頬が赤くなる。


私はそっと自分の鎖骨を撫でた。

きっとキスマークがついている。晴翔くんが初めて残した、マーキング。



End

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