小さな恋物語



「そうだったんだ…ごめん」

「何で謝るんだよ。まぁフラれたんだけどね。こんなにいい男なのに」


樹はアハハと笑っている。愛想笑いではないから未練ないのかな。


「そうだね。それは認める」

「だろ?もったいないよな~」


かっこいいし男らしいし、熱いところもあって、樹は男女関係なくモテるし慕われる。

私も本当はその内の一人なんだ。樹に憧れる内の一人。
それをずっと言えないまま過ごしている。





友達用の布団を敷いて、樹はそこに。私はベッド。

明日の昼には台風が通過するらしい。樹のリュックと靴、乾くかな…。
まぁ明日は日曜日でお互い授業もないし、樹のお父さんが迎えに来てくれるみたいだから乾かなくても大丈夫だろうけど。


相変わらず暴風雨が窓ガラスに叩きつけられて、静かな室内に響く。

樹はもう眠ったらしい。

初めて見る樹の寝顔。
ぱっちりした二重で、鼻が高くて、肌も綺麗。


寝顔に見とれていた時、再び雷の轟音が響いた。


「~っ」


タオルケットを頭まですっぽりかぶる。もう本当に嫌だ。雷雲は早く通過してほしい。
轟音は一回かと思いきや立て続けに鳴り響く。きっと稲妻が光っているに違いない。
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