溺愛オフィス


「ごちそうさまでした」


綺麗にオムライスを完食した私たちは、食器を片付けると再びソファに腰を沈めた。

大きな液晶テレビに映されているニュースでは、いよいよ関東に台風が上陸することを繰り返していて。

時折、窓の外から聞こえてくる強い風の音で、私もその時が来るのを感じ取っていた。


お腹が膨れたからだろう。

私は少しの眠気に襲われながら、ソファの上に体育座りの体勢をとって。

その姿勢で、ぼんやりとテレビを眺めていたら……


「眠いか?」


いつもより優しげな桜庭さんの声に問われた。


本当は、横になったら眠れるだろう。

でも、横になって目を閉じれば、病院でのことを思い出しそうな気もして。

それが嫌で、私は……


「ちょっとだけ。でも、まだ平気です」


誤魔化すように、首を横に振った。


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