溺愛オフィス
おかげで、現場の雰囲気が少しだけ和らぐ。
でも、KAORIさんの機嫌は悪化したようで。
「あと、これ温過ぎ。淹れなおしてくれる?」
イライラした声で、温いと言ったコーヒーに口をつける。
「すぐ、新しいのを持ってきますね」
私は1階にあるコーヒーメーカーで熱いコーヒーを淹れなおし、また地下へと戻った。
そして、湯気の立つコーヒーをKAORIさんに渡すと。
「今度は熱過ぎ。ホント使えない」
またしても機嫌を損ねてしまったようで──
「まあいいわ。こっちのは蓮井さんにあげる」
そう言ったかと思えば、KAORIさんは温くなった方のコーヒーを私に差し出した。
私がそれを受け取ろうと腕を伸ばした直後。