溺愛オフィス


「ポップコーン買いに行かされるかもよ?」


桜庭さんと同じように資料等をまとめて手にした壮介君が、からかうように言う。

昨日のポップコーンの件、振り回された私が悪いので報告は必要かどうか迷ったんだけど、一応報告をしたら。


「ねー、柊奈さん?」


壮介君にはちょっと面白かったようで、こうやって一晩経ってもネタみたいにされている。

私が大変だったのは理解してくれているみたいだけど、意地悪なのは相変わらずだ。

本当に私の事を想ってくれてるのか疑問に感じたりもするけど……

いつも通りでいてくれることにも安堵していたり。

ちなみに桜庭さんは、ポップコーンの件を話した時、呆れたように溜め息を吐き出した。

多分、KAORIさんならやりかねないとでも思ったんだろう。

……きっと、そう。

振り回された私に呆れたんじゃないと……思う。

と、昨日の態度を思い出して、ちょっとだけ不安になっていたら。


「行けと言うなら行ってやる。蓮井が頑張ったんだ。それを無駄にはしない」


桜庭さんの声が、淡い笑みが、そんなものを吹き飛ばしてくれた。


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