溺愛オフィス


「失礼します」


お辞儀をして、雑誌社の方を見送って。

一緒に打ち合わせに出ていたプレスの先輩と、ビル1階にある打ち合わせスペースからオフィスに戻ろうと踵を返したときだった。


私のスマホが震え、壮介君からのメールを受信する。

画面をタップして本文を表示させれば。


『A会議室に集合』


それだけ書かれていた。

でも、それだけで何の用件かは予想が出来て。


「すみません、私はこのまま会議室に行きますね」


私は先輩に一言伝えてから、急ぎ会議室へと向かう。

エレベーターを待つことさえもどかしく感じて。

廊下に敷き詰められている硬い絨毯の上を足早に歩く。


やがて辿り着いた目的の会議室の扉を開くと──


「お、柊奈さん早い」

「丁度打ち合わせが終わったタイミングだったの」


桜庭さんと壮介君が座りながら私を迎えた。


< 251 / 323 >

この作品をシェア

pagetop