溺愛オフィス


「差し入れだ」


そう言うと、私の頭に乗せた物をデスクに置いた。

それは、少し甘めの缶コーヒー。

私が好んでよく飲むコーヒーだ。


「ありがとうございます」


桜庭さんも甘めのコーヒーが好きなのかと、彼の手にあるもうひとつの缶コーヒーに視線を移せば……

そこにあるのは、エスプレッソの無糖。


……もしかして、だけど。

私の好みを知っていてくれた……?


好きだと口にしたことはないけど、桜庭さんとのミーティングでも何度か飲んでいたし、なんとなくでも記憶にあったのかもしれない。

そう思ったら、何だか嬉しくて頬が緩む。


私の横に立つ桜庭さんは、そんな私には気付かずに、デスクに並べていた新ブランドカタログ用のロゴ案を見た。


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