オカンとたっくんの心霊事件簿
『お腹の大きなあんたを見つけてさ。あんたは気付いてないようだったけど、強い力を感じたんだ。フラフラ~っとそのままついてきた…みたいな?』

「え…なにそれ…迷惑な…。」

『あんたはまだ気付いてないだろうけど、強い力があるんだぜ。気を付けねーと。』

佐々木さんはそういうが、自分の力がそれほど強いとは思えない。
よく分からないが、思わず自分の手を見つめる。

『この家にいる間は心配ねーよ。シズルもいるしさ。』

佐々木さんがシズルさんのほうを見て言った。

「あ…!!佐々木さん、シズルさんのこと見えてるの!?」

『へ?当たり前じゃん?俺も死んでるし。』

さらりと佐々木さんが言った。

「そ、それはそうだけども…。」

シズルさんは佐々木さんに名前を呼ばれて恥ずかしいのか、さっきよりもうつむいている。

「ところで、シズルさんはいつからここにいるの?」

シズルさんへ聞いたが、彼女が答える前に佐々木さんが口を開く。

『シズルは俺を見てここへ来たんだよな。俺に惚れてるから。』

にっこり笑いながら佐々木さんが言った。

シズルさんは顔を真っ赤にして、しゃがみこんでしまった。

「…え?佐々木さん、シズルさんの気持ちに気付いて…?」

『あったりまえじゃん!めっちゃわかりやすいし。』

…確かに分かりやすいけど…。

それを知って、佐々木さんはどうしたのだろうか?私は不思議に思い、佐々木さんに聞いた。

『ん?何もしてねー。俺、死んでるし。別に彼女とかほしくねーし。』

「えー!!ひどい!!シズルさんの気持ちに気付いてるのに、何もしてあげないの?」

『ひどいって…。何かしてやろうにも…見てろよ?』

佐々木さんは立ち上がってシズルさんへと近づいた。

するとシズルさんはビクッとし、バッと立ち上がったかと思うとシュンッと消えてしまった。
< 10 / 10 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

無関心女の最初で最後の恋
華☆琴/著

総文字数/0

恋愛(オフィスラブ)0ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
有村 潤(ありむら じゅん)―30歳。 産まれてこの年まで、彼氏が出来たことがない。 けれども、彼女はそんなことは全く気にしてなかった。 なぜなら、男に興味がないから。 男に、どころか、人間にすら興味がない。 こういう人間だから、友達すらいなかった。 友達が欲しいなんて思ったこともなく、自分の現状に満足していた。 仕事と家の往復、家に帰れば飼い犬の【アサヒ】がいる。それだけで、彼女は満足だった。
女子高生☆陰陽師
華☆琴/著

総文字数/1,283

恋愛(その他)3ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
かつて、強い霊力を持っていた陰陽師、雪之丞 宗祐(ゆきのじょう そうすけ)。 その相棒の白き犬、権之白山(ごんのしらやま)。 二人は火を纏う煉獄鬼(れんごくき)を討伐した後、命を落とす。 それから約1000年の時を越え、生まれ変わった宗祐。 宗祐が転生したのは女の子――。 宗祐の転生と共に、封印から目覚める魔物たち。 生まれ変わった宗祐と、魔物たちの闘い。 それがこの物語である。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop