ハートブレイカー
まったく、こいつは・・・。
何を考えているのか、手に取るように分かるかと思えば、予測不可能な行動に出る。

例えば、突然逃げる。

愛美の頬にかかっている髪を、そっと上へかき上げた。
そのまま自分の手は愛美の髪をなで、耳のすぐ後ろ・・・こいつが感じる場所にそっと触れる。

だが愛美は眠ったままだ。
これ幸いとばかりに、耳のすぐ後ろを2・3度なで続けた。

「・・・強情なマナ猫め」
「まなな、じゃない、まなねこってだれ?」

俺と同じ切れ長の目が、俺を見上げて問いかける。
思わずニヤけてしまったが・・・まあいい。

「ママのことだ」

ひとまず愛美は大丈夫だ。
あとはフォロー諸々と・・・こいつの目が覚めるまで付き添うか。

「こうなる前に俺を頼れ。マナ猫」



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