ハートブレイカー
さっきまでは、ムカついてた分、痛みを忘れてたのに。
何思い出させてるのよ、この人は!

って彼に八つ当たりしても、痛みは引かない。
だから睨むのはやめた。

「まったく。何やってんだ、おまえは」

彼が椅子から立ち上がった。
私の左手首をつかんだまま。

「いや、何もしてないだろ。来い」
「来いって、あなたが手つかんだままだから、行くしかない・・・」
「すぐ戻る。三井、飲み物を配っておけ」
「は・・かしこまりました」

すみません、三井さん。
でもあなたが始めたことだし・・・。

私もいろいろ不本意なんですけど!

「ちょ・・どこ行くんですか!」
「冷やす」

あぁ、何となく周囲の視線がここに集中しているように思えるのは、気のせいだと思いたい。

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