ハートブレイカー
きっと課長は、前回の教訓で、社内でそういう雰囲気出さないように努めていたんだろうか。
ってことは、やっぱり鳥居さんとつき合ってたの?

そういうことも踏まえて、課長は後腐れのない関係を求めていたんだろう。
そして社内の女には手を出さないと決めたのかもしれない。

でも出しちゃった、ね。
ていうか、あれは・・・。

『後悔してももう遅い。おまえは俺を・・・目覚めさせた』

気づいたら両目をつぶり、両手で耳をふさいでいた。
いくらそうしても、あのときの獰猛な彼の目のギラつきと、低い声は忘れられない。

ふぅとため息をついて、重たい気持ちを吐き出す。

どっちにしても、あの夜のときも、その後のことは何一つ言わなか った。
約束も、「つき合おう」とも。

つまり、課長にはその気がなかったってこと。
今までどおり、お仕事ロボットとして見ているほうが都合よかったのだろう。


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