ハートブレイカー
洗濯物を片づけるためお風呂場へ行ったとき、中から二人の歌声が聞こえてきた。

「ハッピーバースデートゥーユー。ハッピーバースデートゥーユー」

直哉が声変わりをしたら、彼みたいな声になるのかな。
そのうち私より背が伸びて、二人から見下ろされるようになって・・ ・。

ってちょっと待って。

私は・・・私はいつまで彼と一緒に住むんだろう。
こういう形で。

彼が飽きるまで?
直哉が独り立ちするまで?

いくら私が彼の息子の母親だからって、こんな・・・中途半端な居候生活、いつまでも続けるわけにはいかないよね。
彼だって、そのうちつき合いたいと思う女性が現れて・・・ううん。

もしかして今、すでにいるかもしれない。
今は直哉のことを優先させて、「彼女」と会うのを控えているのかもしれない。

落ち着きをなくした私は、急いで洗濯物を片づけて、お風呂場から出た。


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