ハートブレイカー
「なんだ。何をやった?今度はどんな失敗をした。やっぱりおまえ は・・・変わってないな」

変わってない、イコールできない。
ていうか、変わってないのは私を嘲る口調でしょ。

人生の敗北者。期待はずれの子。
それが父から見た私だった。
子どもの頃から、いや、今でもそれは続いているようだ。
私はいまだにこの人を失望させているらしい。
思ったとおり。 やっぱり甘かった・・・。

「やっぱりいい。何とかするから」
「愛美!・・・お父さん。お金、貸してあげてください」
「お、おかあさ、ん?」

あれ?「お父さんに謝りなさい」じゃないの?
それがお母さんの定番セリフだったはず。

なのにこの人、お父さんに向かって牙むいてる。

「貸さん」
「お父さん!」
「貸さんと言ったら貸さん!だいたいおまえは誰だ。私らの娘じゃない!自分からそう言って出て行ったんだろう!」

あぁそうだった。
私は遠い目をしながら思い出すようにフッと笑うと、お母さんから離れた。

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