ハートブレイカー
「それも一理あるな・・・ところで、おまえには扶養者がいるみたいだが」

私の体がギクリと跳ねた。
その振動が、後ろにしがみついている直哉にも伝わるほどに。

は、話・・変わりすぎでしょ。
まさかそのために・・・「確認」したくて、「出張面接」しに来たの?

「おまえの後ろにいるその子か?」

気づいてる。
手の平に浮かぶ汗を無言でぬぐう私を、徐々に追い詰めていることに、この人は気づいてる。

分かっててやってんだから・・・たち悪い。

「ええ・・・そうですけど」
「ふーん。男の子か。何て名前だ?」
「・・・関係ない人に言いたくありません」

彼にとってタブーワードを言ってしまったのか。
途端、彼の目がギラリと光った。

あ。やばい。

< 74 / 223 >

この作品をシェア

pagetop