ハートブレイカー
「パパ?」
「どうした」
「きゅうきゅうしゃがきた!」
「そうか」

こっちはあと5分で着ってとこだな。
音が聞こえなかったということは、サイレンを鳴らしてないか。
あの音は意外と心理的に動揺する。
3歳児の直哉を気遣っての配慮だろう。

それと、愛美がそこまで緊急を要する事態じゃない、と思いたい。

「直哉、救急の人たちの邪魔にならないように・・」
「うん・・・あ」
「どうした」
「きゅうきゅうのおにいさんが、パパとおはなししたいって。スマホ、あげてもいい?」
「もちろんだ。代わってくれ」
「うん」

それからすぐ、男の声がスマホから聞こえてきた。

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