光の少女Ⅱ【救出編】

第6章 決意

1

「花音」


表情を引き締めた風夜に、花音はそれまで浮かべていた笑みを消す。


「前に他の三人とは、別々に逃げたって話したよな」

「・・・うん」

「あれは、本当のことじゃない。嘘なんだ」

「嘘?」

「本当は今、あいつらは水の国で捕まっている。俺も操られ利用される前は、そこにいた」

「なら、雷の国は?どうなったの?」

「今のところは大丈夫らしい。光の一族と闇の国が、介入してきたことで、陰の一族もやりにくいみたいでな」

「そっか。よかった」


花音は、安堵の表情で呟く。雷の国が風の国と同じように、完全に陰の一族の手に堕ちてないということだけでもよかった。


「とはいえ、あまり状況はよくないことに変わりはない。火・水・地の一族が奴等についたうえ、夜天、雷牙、光輝の身柄は、向こうの手中にある。奴等は、雷、闇の国と光の一族をおとすのに、水の国を拠点にしているが、その三ヶ所を制圧したら、今は奴等の本拠地になっている風の国へ戻るはず。そうなれば、・・・あの三人を助け出すのは、難しくなる」

「となると、水の国にいるうちに、三人を助け出さないと」


言って、花音は少し考え込む。

三人を助け出すには、また向こうの世界へ行かなくてはならない。

それを両親が許してくれるのか。

そして、三人を助けるには風夜と二人では厳しい。

理由を話せば、梨沙達は協力してくれるかもしれないが、そうすれば完全に巻き込んでしまうことになる。

それで本当にいいのか。

その二つが気掛かりだった。
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